IPアドレスがバレるとどうなる?住所や個人まで特定されるの?
IPアドレスがバレるとどうなるの?住所や個人まで特定されてしまうの?
通常、インターネット利用者のIPアドレスが第三者に公開されることはありません。
ただし、インターネットの仕組み上、利用したサイトやISP(インターネット・サービス・プロバイダ)には通信履歴が残りますし、安全性の低いネットワークを利用している場合は第三者に漏洩する可能性もあります。
しかし、万が一IPアドレスを知られたとしても、開示請求がなければ住所や個人まで特定されることはありません。
この記事では、IPアドレスがバレることの危険性や、IPアドレスをわからなくする裏技について解説します。
- NTT西日本でMacのサーバ構築やネットワークSEを歴任
- WiFiやセキュリティを活用したネットワークソリューションが専門
- 現在は情報通信関連の研究機関に従事する傍らブログを執筆中
IPアドレスはインターネット上の住所
IPアドレスは、パソコンやスマホなど、ネットワークを利用する機器に割り当てられるインターネット上の住所のようなもので「○○○.○○○.○○○.○○○」のように、4つ数字をドットで区切って表記されます。
このIPアドレスによって、接続先のサイトや返信先の端末を特定することができます。
ただし、インターネットの利用者が直接IPアドレスを指定する必要はなく、例えばウェブブラウザの場合なら、アドレスバーにURL情報を入力すれば、DNSによってIPアドレスに自動変換されるようになっています。
ブックマークを利用したり、専用アプリなどを利用する場合は、URL情報の入力も必要はありませんが、IPアドレスに自動変換されて通信する仕組みは同じです。
IPアドレスはISPや回線事業者が割り当てる
IPアドレス(グローバルIPアドレス)は、契約しているISPや回線事業者などから自動的に割り当てられます。
基本的には、接続の都度異なるIPアドレスが割り当てられるようになっています。
ただし、利用している回線種別(固定回線やモバイル回線)によっては、一定期間同じIPアドレスが割り当てられる場合もあります。
IPアドレスドットコムなどのウェブサービスを利用すると、現在割り当てられているIPアドレスを調べることができます。
インターネットで利用されるグローバルIPアドレス以外にも、自宅のWiFiネットワークなどで利用されるプライベートIPアドレスがあります。プライベートIPアドレスは、利用しているWiFiルーターが自動的に割り当てます。
IPアドレスでわかる情報とは?
IPアドレスからわかる情報には、以下のようなものがあります。
- IPアドレスを管理している団体の情報
- 利用している位置(エリア)情報
- 利用している通信事業者
ただし、前述した発信者情報の開示請求があった場合は、住所や氏名などの個人情報まですべてわかるようになります。
IPアドレスや関連情報を調べる方法
IPアドレスや、それに紐づく関連情報をを調べるには、WhoisやIPルックアップを使うのが一般的です。
ただし、第三者が別の利用者に現在割り当てられているIPアドレスを調べることはできません。
調べられるのは、自分のIPアドレスや、何らかの方法で知り得たIPアドレスのみです。
Whoisを利用したIPアドレス検索
Whois検索は、JPNICやドメインを管理しているレジストリやレジストラが提供しており、IPアドレスを使って以下の情報を検索することができます。
- 管理組織名(プロバイダ名など)
- ネットワーク名
- IPネットワークアドレス
- 管理者連絡窓口
- 技術連絡担当者
- ネームサーバ
あくまでのIPアドレスを管理している団体に関する情報であり、インターネット利用者を特定する情報は含まれません。
IPルックアップを使ったIPアドレス検索
IPルックアップとは、IPアドレスを使って、その位置情報やホスト名、ISP(インターネットサービスプロバイダ)などを調べるツールです。
以下は、NordVPNのIPルックアップを使った際の検索結果です。
回線事業者やISP情報をはじめ、利用者のエリア情報まで調べることができます。
IPアドレスがバレることの危険性
利用しているIPアドレスが知られたからといって、住所や個人が特定されたり、直ちに危険が及ぶようなことはありません。
いかがわしいサイトなどを閲覧中に、
あなたのIPアドレスはXXX.XXX.XXX.XXXです。
といった警告でドキッとした方もいるかもしれませんが、これはあたかも個人を特定しているかのように見せかけているにすぎません。
不安を煽ることで、不正請求や連絡を要求することが目的です。
では、IPアドレスがバレることの危険はまったくないかというと、そういうわけではありません。
以下では、IPアドレスを知られてしまうことによる危険性を解説します。
ある程度の位置情報はわかってしまう
前述したとおり、IPアドレスルックアップなどを使えば、郵便番号レベルまでの位置情報は検索可能です。
番地などの詳細はわからないにしても、国や市町村をはじめ居住エリアを特定されるのは気持ちのいいものではありません。
フィッシング詐欺の危険性が高まる
Googleなどで検索した商品が、SNSなどの広告で頻繁に表示された経験がある方も多いと思います。
これらは、トラッキング広告と呼ばれ、閲覧したコンテンツやクリックした広告などの情報を元に、利用者のニーズにマッチする広告を意図的に表示しているものです。
トラッキング広告には、主にIPアドレスやCookie情報などが使われます。
悪意のあるサイトがこれらの仕組みを悪用すると、意図しないサイトへ誘導するなど、フィッシング詐欺を誘引することにつながります。
攻撃対象となる可能性がある
悪意のあるユーザーにIPアドレスを知られてしまうと、それを利用してセキュリティ攻撃を受ける可能性があります。
具体的には、DoS(Denial of Service)攻撃などがあります。
個人がターゲットになることはほとんどありませんが、企業や公的機関などは注意しておく必要があります。
IPアドレスをわからなくする裏技
TorブラウザやVPNを利用すれば、別のIPアドレスとして振る舞うことができるため、結果的に本来のIPアドレスをわからなくすることができます。
Torブラウザを利用する
Torブラウザは、ネット利用時のプライバシーと匿名性を強化するために設計されたウェブブラウザです。
Torブラウザを使うと、通信データが複数の中継ノード(ルーターやサーバーなど)を経由するため、IPアドレスをわかりにくくすることができます。
ただし、あくまでもウェブブラウジングのみに限られるため、その他のアプリ利用時には適用されません。
また、悪意のあるノードを中継すると、個人情報の漏洩やフィッシング詐欺などのリスクが高まるため、利用にあたっては十分に注意する必要があります。
VPNを利用する
VPNは、本来インターネット利用時のセキュリティを高めるためのツールですが、VPN接続によって仮想IPアドレスが割り当てられるため、結果としてIPアドレスを隠匿することができます。
接続先のサーバーでは、新たに割り当てられた仮想IPアドレスのみが通信履歴として残ります。
また、VPNでは通信データが暗号化されるため、フリーWiFiなどの安全性が高くないネットワークを利用した場合であっても、IPアドレスや通信内容が第三者に漏洩するリスクが低くなります。
VPNを利用すると、ウェブブラウジングをはじめネット利用全体のセキュリティや匿名性を高めることができます。
まとめ
一般的な利用シーンにおいて、IPアドレスがバレることによるリスクはそう多くはありませんが、知られてしまうことの危険性を知っておくことも大切です。
IPアドレスを知られたくないという方や、ネット利用時の匿名性や安全性を高めたいという方は、TorブラウザやVPNなどのツールを上手に活用することをおすすめします。
中でもVPNは、古くからビジネスユースでも活用されており、高度な暗号化技術によってセキュアなインターネット環境を実現します。
近年では、安価な個人向けサービスも複数登場しており、誰でも手軽に利用できるようになっています。
ただし、できるだけ信頼性が高く、利用スタイルにあったサービスを選ぶようにしましょう!